3.楽器購入にあたっての注意
楽器は、初心者用から高級なプロ用まで、ピンキリであり、
一本一本に個性がある。いろんな店に出掛けて弾き比べ、
じっくり時間を掛けて決めて欲しい。そのためには、先生や
経験豊富な人のアドバイスが重要である。
また、左利き用のギターは、一般的にお店にはないので、
左利きで弾く人の場合、特注しなければならない。構造的に
右用と左用では違うので、右用を1弦から6弦迄の弦の位置
を逆にするだけでは厳密な意味で左用にはならない。左利き
でも、右用で練習して慣れてしまうということも考えられる。
その方が、楽器の選択の範囲が広がる。
楽器購入時の確認の仕方は、後に述べる「楽器購入時の
確認のポイント」も参考にしていただきたい。極論になるが、
間違ってもおもちゃみたいな、ただ箱に弦が張ってあるだけ
のものだけは買わないようにしていただきたい。
また、弦長(ナットからブリッジまでの長さ)は、一般に650
〜660mmが標準である。女性や手の小さい人は640mm
など短い方が弾き易い。しかし、上級者の場合は別である。
最初は初心者用でスタートし、上達したら耳や見る目が備
わってくるので、本格的な楽器に買い換えるという事を考え
ても良いと思う。決して安い買い物ではないので、自分が一番
気に入った楽器を手に入れ、ギターと長く付き合っていただき
たい。
(楽器購入時の確認のポイント)
次の点を良く観察して決めていただきたい。初心者の方は、
出来れば、経験豊富な人と一緒に確かめた方が良い。特に、
中古品は、前の所有者がどんな使い方をしたか、なぜ手放し
たか等があり、新品に比べ更に判断が難しくなる。いずれに
しても、値段やお店の人の口車に誘惑されないことである。
@ネックのそり:6弦側の指板の端をブリッジ側からナット
側、或いはナット側からブリッジ側へ通して見て、そりの
状態を見る。指板側がへこむ順ぞりと指板側が膨らむ逆
ぞりがあり、そりが大きすぎると、順ぞりの場合は弦高が
高くなり押さえにくくなる。また、逆ぞりの場合は弦がビリ
つく要因になる。新品の場合はそりがないことは当たり前
であるが、中古の場合、無いに越したことはないが、順ぞ
りでそりが出来るだけ少ないものを選びたい。
A中古楽器のフレットの磨耗:良く使われた楽器ほどへこみ
は大きい。気に入って、そこまで弾き込んだギターを、中古
として出すのはまれと考えて良い。高級手工ギターなら、
クラシックギター専門の工房での修理ということになるが、
購入時点でお店に依頼をした方が良いと思う。
B各所の破損や割れ:新品ではあってはならないことである
が、表面板、裏板、ブリッジやネックの接合部のはがれ、
また、割れやヒビがないことを確認して欲しい。中古品では
接着や塗装で補修のあるものはやめておいたほうが無難
である。丁寧に扱った様子が伺えるものであれば大丈夫
で、使い込みによる塗装の退色や小さな引っ掻き傷は、
あまり問題にはならない。あとは、買う人の好みの問題で
あろう。
C糸巻きの動き:パイプの割れ、歯車の磨耗や錆がなく、
回転がスムーズなこと。破損や磨耗については、糸巻き
を新品と交換すれば良いし、ただ動きが重いだけならば、
歯車にグリスを塗れば解消する場合もある。糸巻きの交
換は、パイプ間のピッチに種類があるので気をつけること。
経験者なら問題ないが、お店に依頼をした方が良い。
C音色や音のバランス:新品でも同様のことであるが、
以上の内容を確認して、音色等を確認する。
雑音のない澄んだ音で、びりつきがなく、全弦にわた
って音程、音色、音量がバランス良く安定しており、音の
伸びと減衰の状態が適度であることを確認する。音色、
音量の微妙なレベルについては、この後に「ギターの弦
について」で述べているように、弦そのものの特性でも
違いがあるということを考えた上で、最終的には自分の
好みに合っているかどうかで判断することになる。
もし、楽器に張ってある弦が古くて伸びきっていたなら、
お店の人に新品と交換してもらうこと。伸びきった弦では、
正確な確認は出来ない。